人生を分けたプロの勝手な行為
本日は構造塾の佐藤塾長のお話をご紹介します。
「能登半島地震」の現地調査での出来事です。
輪島市の調査で、見た目に新しそうな建物の倒壊被害がありました。
しかし、よく見てみると古い建物をリフォームしていました。
外壁を貼り直し、窓も取り替え、内装もキレイになっていましたが、
構造躯体の耐震補強の形跡は見られません。
柱頭柱脚に金物なし、筋かい端部は釘留めのまま。
リフォームという耐震補強のチャンスに何も補強することなく
見た目だけを着飾った結果、地震で倒壊してしまいました。
この倒壊した建物のすぐ近くで、
倒壊せずにしっかりと建っている築55年の木造住宅がありました。
1階は4年前に内装リフォームしており、
被害の小さいことからリフォーム時に耐震補強したものだと思っていました。
しかし、お施主様に確認したところ耐震補強を依頼はしておらず、内装のリフォームのみ、
被害の少なさが不思議な状態でした。
後に、被害が少なかった築55年の木造住宅のお施主様が、リフォーム工事を依頼した工務店に確認したところ、
「耐震補強は依頼されていなかったが、せっかくのリフォームなので勝手に耐震補強を行った」とのこと。
驚くべきプロの勝手な行為でした!!
新築でもリフォームでも当然、お施主様の要望があり予算があります。
その要望に「耐震」がないことは「不要」ではありません。
そこをプロが「言われないからやらない」ではなく、
「言われなくても当然やる」という良い意味の勝手さが必要なのかもしれません。
もっともっとわかりやすく言えば、「釘を打つ」という行為は「言われなくてもやる」行為です
(釘を打たないと建物自体が構成できないから必然ではありますが)。
お施主様が「釘を打って欲しい」と言わなくても釘は打ちます。
そのレベルで「耐震」は当たり前に、そして勝手にやってしまいましょう!
そのプロの勝手な行為が人生を左右することもあるのですから・・・。